Trailer

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    「ラ・カンパネラ」
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Story

―― 子どもの頃、寝床に着くと聞こえてきたのは、母が弾くショパンの「ノクターン」。
その音楽に魅了され、ピアノに触れた時から、フジコの音楽の旅が始まった。
数奇な運命をたどり、世間から注目されたのは60代後半。いくつもの苦難が訪れても、フジコはピアノを弾くことを決してやめなかった。
90歳を超えてもなお、世界中で精力的に演奏を続け、公演はどこもソールドアウト。2024年もたくさんの公演を控えていた中、フジコは4月に急逝した。

演奏の原動力となったのは、家族である動物たちや自分を信じること。各国に家を持ち、愛する猫や犬たちに囲まれ、ピアノを弾く毎日が、彼女の愛すべき世界だった。
2018年に異例のロングランヒットを記録した映画『フジコ・ヘミングの時間』から6年。
本作はフジコの2020年から4年間の旅路を演奏と共に描くドキュメンタリー作品となっています。
戦時中を過ごした岡山に残されているピアノとの再会、父や弟との思い出、コロナ禍での暮らしと祈りを捧げる演奏、思い出の地・横浜でのドラマティックなステージ、そして秘めた恋の話――。フジコはどんな時も、自分らしく生きてきた。

2023年3月、フランス・パリ、コンセルヴァトワール劇場でのコンサートでは、「ラ・カンパネラ」「別れの曲」「月の光」「亡き王女のためのパヴァーヌ」など、数々の名曲が披露された。「最後の演奏会はどんなものにしたい?」の問いに、パリでの演奏会のようにしたいと話していたフジコ。
大切な場所で、過去と記憶が交差し、フジコの人生とともにあった魂の演奏に思わず涙があふれる――。

Profile

出演・音楽

フジコ・ヘミング

本名:ゲオルギー・ヘミング・イングリット・フジコ

 12月5日ベルリン生まれ。スウェーデン人の画家で建築家のジョスタ・ゲオルギー・ヘミングと、ピアニスト・大月投網子の間に生まれる。弟は俳優の大月ウルフ。5歳からピアノを始め、レオニード・クロイツァー氏に師事。 東京藝術大学卒業後、28歳でドイツへ留学し、現・ベルリン芸術大学を優秀な成績で卒業。ヨーロッパでキャリアを積み、『ウェストサイド物語』などで有名な大音楽家のレナード・バーンスタインやブルーノ・マデルナらからも認められて支援を受けるが、リサイタル直前に風邪をこじらせて聴力を失う。その後は耳の治療の傍ら、ピアノ教師をしながら欧州各地で演奏活動を続けた。
 1999年、NHK ETV特集『フジコ~あるピアニストの軌跡~』が大きな反響を呼び、フジコブームが巻き起こる。この時フジコは60代後半になっていた。CDアルバムはクラシック界では異例の大ヒットを記録、ニューヨーク・カーネギーホールをはじめとするコンサートで世界の人々を感動の渦に巻き込んだ。その後も20年以上に渡り、ヨーロッパ、北米、南米などワールドツアーを行い、ソロ公演だけでなく多くの著名オーケストラとの共演も重ねた。
 2018年、映画『フジコ・ヘミングの時間』が異例のロングランヒット。第22回上海国際映画祭で上映のほか、アジア、カナダ、中東、ロシア圏など、海外でも公開された。ピアノだけにとどまらず、ファッション、インテリア、ライフスタイルなどでも支持を集め、特に父親譲りの絵の才能は評価も高く、CDジャケットや書籍などで多くの作品を発表している。また、敬虔なクリスチャンとして慈善活動に関心が高く、動物愛護や戦争や災害被災地への支援など、長年に渡りチャリティー活動を続けてきた。
 2021年には自身の選曲によるオールタイム・ベストアルバム『COLORS』を発売するなど、コロナ禍にあっても精力的に活動を続け、2024年も多くの公演が予定されていた。自分を信じて努力を続け、あきらめることなく夢を追う姿が多くの人を勇気づけるとともに、慈愛の精神でか弱き命を支援する温かい人柄は、世界中のファンを魅了しやまない。

Staff

企画・監督・構成・編集

小松莊一良
(こまつ そういちろう)

映画監督、企画演出

  12月7日 ロサンゼルス生まれ。広島県呉市で育つ。大阪芸術大学 映像学科在学中に第1回集英社ヤングジャンプ・ビデオフェスティバルなどでグランプリを連続受賞。シンガーGWINKOのダンスフィルムが高く評価され、オールキャスト・ミュージシャンによる日本初のダンスムービー『Heart Breaker』(1992年、東映Vシネマ)で監督デビュー。長年、アジアのダンスシーンでカルト人気となる。
 ミュージシャンやストリートダンサーをモチーフにした作品をテーマとし、映画、ドラマ、MV、ライブ映像などを監督。吉川晃司、HYDE、東京スカパラダイスオーケストラ、DA PUMP、湘南乃風、氣志團万博、手嶌葵、藤あや子、ケイティ・ペリー、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブなどを手掛けるほか、2018年には国民的アーティスト・安室奈美恵の引退ライブBlu-ray&DVDの監督に抜擢される。2024年、監督したWOWOW『生中継!新しい学校のリーダーズの初武道館「青春襲来」』が同時に世界配信もされ、第14回 衛星放送協会オリジナル番組アワードではライブ中継映像として初のグランプリを受賞。
 一方、クラシック・ピアニストのフジコ・ヘミングの映像やコンサートの演出も手掛け、企画・監督したドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』(2018年、日活)が異例のロングランヒットとなり、今作へとつながる。90歳代の世界的人気アーティストの新たな魅力を引き出した。その他ドキュメンタリーの代表作としては、“ストリートダンスの神様”坂見誠二主演の長編ダンスドキュメント『∞~MUGEN』(2005年)、『その男、職業 吉川晃司』(2019年)などがある。 母校の大阪芸術大学 映像学科では客員教授を務める。